『目に見えない資本主義』からポスト資本主義を考える。

今回は、資本主義の話です。前回紹介した「里山資本主義」とのシンクロ率が高くて驚いています。

『里山資本主義』を読んで、地方の活かし方を考えてみた

今回紹介する『目に見えない資本主義』も「ゆっくり、いそぐ読書会」の課題図書なのです。だからシンクロ率が高いのです。

「里山資本主義」が実践編なのに対して、この「目に見えない資本主義」は理論編といったところでしょうか。

「目に見えない資本主義」は非常にわかりやすく、現在の貨幣中心の資本主義の問題点と今後の対策について納得する部分が多かったです。

今回はそんな中で私がいいなあと思った部分を3つにまとめて書いていきます。皆さんの参考になれば幸いです。

1螺旋構造の法則

「21世紀の経済は弁証法で予見できる」本書の扉の部分に書かれている文章です。一見すると言い方は悪いですが胡散臭く思えます。しかし、読み進めるとなるほど納得する部分も多くあります。

今回は、その弁証法の中で特になるほどなあと思った部分について、以下に引用します。

「螺旋的発展の法則」である。すなわち、これは「世界はあたかも螺旋階段を登るように発展する」という法則。世の中には、「世界は、右肩上がり、一直線に発展していく」という誤解がある。しかし、実は、世界は、あたかも螺旋階段を登るように発展していく。

「目に見えない資本主義」より

世界は確実に発展している。ただし、それは一直線ではなく螺旋階段を登るように。これはどういうことでしょうか。螺旋階段を登るようにぐるぐる回りながら発展していく。これは、発展と同時に「原点回帰」という現象が起こっているとのこと。

昔はやったものがリバイバルブームとして現代に蘇ること。それが螺旋構造の法則です。本書の例で言うと、一度廃れたオークションというシステムが、「インターネット」の登場でネットオークションとして現代に蘇る。そういった事例がたくさんあると思います。

実はこの螺旋構造、以前似たようなものを見たことがあります。オムロンという会社が提唱しているサイニック理論というものです。

https://www.edge-link.omron.co.jp/news/203.html

オムロンも同じように螺旋構造で未来を予測しています。まさに著者の言わんとしていることが、オムロンの未来予測と重なっています。また、上記の記事に書いてあるSINIC cafeなんかはまさに私がやりたいなと思っていることであり、カフェの重要さを物語っている部分だと思います。

2知識経済から共感経済へ

では、この「知識」や「関係」、「信頼」や「評判」「文化」といった「メタレベルの知識資本」を総称して、我々は何と呼ぶべきであろうか。

共感資本(empathy capital)

(中略)すなわち、これからの資本主義においては、「知識資本」「関係資本」「信頼資本」「評判資本」「文化資本」、総じて「共感資本」と呼ぶべきものが、極めて重要になっていく。

『目に見えない資本主義』より

これは、全容を説明するのは難しいので、詳しく知りたい方はぜひ本書をお読みください笑

私も読んでいてちょっと混乱していたのですが、知識経済と知識資本は違うもののようです。知識経済とは、私の解釈では目に見える知的な価値を指標にする経済のことと捉えました。

「特許」や「知的財産」などがその例になります。だがこれは不十分な理解だと著者は言います。

それが、「関係資本」「信頼資本」「評判資本」「文化資本」になります。「知識資本」のメタレベルが上がると「関係資本」になり、その上が「信頼資本」、最後に「文化資本」になっていきます。

これらは、「目に見えない資本」になります。著書はこの「目に見えない資本」の重要性を「貨幣資本主義へのアンチ・テーゼ」と「ネット革命」の2点を背景に解説しています。

いわゆるマネー資本主義では限界が来てしまったことに対する「目に見えない資本主義」、これが本書のタイトルにもなっているとおり著書の主張です。

また、「ネット革命」により「目に見えない資本」がある程度可視化できるようになってきたことも大切な視点です。例えば、Twitterやインスタグラムが市場に大きな影響をもたらしています。

SNSをやっている方ならよくわかると思いますが、フォロワー数のもとになっているのは「共感」でないかと思います。ブログでも、「自分もそう思っていた!」そんな記事があると思わずテンションが上がり、フォロワーになる確率が高いです。

このように、今後は「共感」が「目に見えない資本」の中でもキーワードになると考えます。

3「征服」から「自然」へ

最後は、「目に見えない資本主義」を目指す上で、著者は「日本型経営」の螺旋構造的復活を述べています。日本人は、これから人類が学ぶであろう「新たな価値観」を既に学んでいると。

それが「日本型経営」の中にあったと。著者は「五つの価値観の転換」あったと言いますが、その中で私が特に印象に残った価値の転換について、以下に引用します。

そして、日本人は、「人為」によって何かを為すことに最高の価値を置かず、その「大いなるもの」に導かれて物事が自ずと然る「自然(じねん)」という状態に最高の価値を置いていた。その、「自然」の思想の根本には、やはり、我々が生きるこの世界と自分自身を一体のものと感じる「自他一体」「主客一体」の思想がある。

(中略)このように、日本人にとっての「自然観」とは、「共生」を超えた「自然」という言葉に象徴される、極めて深みを持ったものなのである。

『目に見えない資本主義』より

「自然」と書いて「じねん」。私は初めてましての概念です。以前ブログに書いた二宮尊徳の「天道」と「人道」を思い出します。

二宮翁夜話』を読んで二宮尊徳に触れる

似ているように思いますが、若干違いますかね。引用文の中で面白いと思ったのは、「共生」では不十分で、「自他の分離」がない「自然」こそ至高の価値であるということ。

私ももう分けるのをやめにして、一つになりたいです笑

ただ、忘れてはいけないのが、「螺旋構造の法則」です。この自然がただの解雇主義ではなく、レベルアップした懐古主義として蘇ることが予見されます。

一体どう進化していくのでしょうか。ネットと自然の親和性はあるのでしょうか。それを考えることが、ポスト資本主義にとってはかなり大切なことなのではないかと考えています。

以上が、『目に見えない資本主義』からポスト資本主義を考えるになります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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