今回はお金の話です。紹介する本は、『シルビオ・ゲゼル入門』です。ゲゼルさんは初めましてで、名前すら聞いたことはありませんでした。この本は、「ゆっくり、いそぐ読書会」の課題図書です。
内容は、お金とは何かを問う本です。私も、数年前はお金には疎く、なんとなく使うことが多かったです。しかし、お金の勉強をしてファイナンシャルプランナーの資格を取ろうとした時から、お金への考えたかが変わりました。
投資をしたり、固定費を削減したりする中でお金の大切さを知り、正しく使っていこうと思っています。ただ、本書はお金の使い方ではなく「お金とは何か❓」という根源的な問題に迫った本でした。
今回は、本書から私が印象に残った部分について3つにまとめました。参考になれば幸いです。
1『自然的経済秩序』
『自然的経済秩序』とは、シルビオ・ゲゼルの著した本の名前です。ゲゼルの集大成とも言える本です。『自然的経済秩序』パッと読んだだけではどんな意味かわからないと思うので、本書から引用します。
「人間の「自然なあり方」に適合するという意味でのみ自然的である。そのため、これは自然の産物としてひとりでに現れる秩序ではない。そんな秩序はそもそも存在せず、意識的に求める行為として秩序を人間が獲得するのだ」
つまり、簡単にいうと「人間らしい生き方に合わせた経済秩序」、他の言い方をすれば「人間らしい生活を実現するための経済制度」ということになります。
『シルビオ・ゲゼル入門』
読書会でも言及がありましたが、人間中心主義のように文章を読んでいると感じました。人間らしい生活とは何でしょうか。人間にとって便利な自然を利用した生活でしょうか。それとも、自然と共存した生活が人間らしい生き方でしょうか。
本書の読んだ印象だと、前者がゲゼルさんの考えかなと思っています。この文章の後で、優生思想的な部分もあったのでそう思ってしまいます。
当時の時代背景を考えると当然なのかもしれませんが、このような背景は非常に重要だと考えています。
2減価する貨幣
減価する貨幣とは、名前の通り少しずつ価値が減っていくお金のことです。なぜ減価していくといいのでしょうか。まずはそのメリットについて2点以下に引用します。
需要の規則化
減価するお金の場合には手元にずっとお金を持っていても何の役にも立たないので、できるだけ早く使ってしまう必要に迫られます。これによって、現金がタンス預金されることなく流通し続ける社会ができるというわけです。
資本金利の消滅
このようなお金が流通するようになると、お金の借り手と貸し手の立場も逆転します。(中略)百万円をタンス預金して毎年五万円ずつ失ってゆくぐらいなら、金利なしでもいいからとにかくお金を借りてくれる人に借りてほしいと思うようになる人が続出することでしょう。
『自然的経済秩序』より
簡単にいうと、「減価する貨幣」は食べ物のようにどんどん価値が減っていってしまう。だからこそ、はやく使いたい。そうすることで、お金がどんどん循環していき経済が回っていく。そんなイメージです。
お金を「使う力」が大切だとYouTuberの両学長も言っていました。お金を貯めることが目的になってしまって、死ぬ前に1億円あってもしょうがないですよね。
だからこそ、お金も食べ物と同じように腐って使えなくなってしまうようにした方がいいと言っているのです。これは確かにそう思います。
タンス預金していたらお金が減ってしまう・・・そんなことにならないために積極的にお金を使っていくというメリットが減価する貨幣にはあります。
具体的には、紙幣にスタンプを押す枠がありそこに毎週スタンプを押すことでお金の価値が減っていくシステムです。
日本では実現されてはいませんが、「ヴェルグルの奇跡」というゲゼルの理論を導入して成功を収めたオーストリアの実践があります。興味がありましたらぜひ本書をお読みください。
先ほど紹介した両学長のYouTubeでたまたまみたのですが、日本でも似たような実践がありました。それが、「Go to トラベル」です。期間限定のクーポン券を発行することで、使わざるを得ない状況になり、地域も潤う今考えれば良い政策だったと思います。
これを地域や組織でどう実装していくかが課題ですね。
3陰陽のバランス
魅力あふれる「減価する貨幣」ではありますが、やはり大切なのは今ある貨幣とのバランスを取ることが大事だと本書で述べられています。その部分について以下に引用します。
しかし、陰陽の両方が必要という話を思い出してください。リエターさんは今の法定通貨も、私たちの経済には欠かせないものだと考えています。競争は確かにマイナスの側面もありますが、技術革新や効率化などを促して私たちの生活水準の向上に役立っている面もあります。ですので、今の法定通貨による陽的な経済の役割や意義を認めた上で、それとは違った陰的な経済も同時並行で推進していくことを提案しており、その道具として「補完通貨」、すなわち陽原理が強すぎる今の社会で陰原理を取り入れることで、バランスのとれた社会を作ってゆこうというのが、リエターさんの提案なのです。
『自然的経済秩序』より
何事もバランスが大切であると、この文を読んで改めて大切さに気づきました。
以上のことから、「減価する貨幣」を現在の経済に導入することは非常に大切であることがわかりました。しかし、これは非常に難しいことだなと感じております。
国が主導してやらなければならないのかなと思いつつ、身近な地域からシステムを構築していかなければならないとも思います。
今私が可能性を感じいているのは、DAO(自立型分散組織)でのトークンのシステムです。山古志村のNFTについては以前ブログでも書きましたが、小さい組織がデジタルの力を活用して、地産地消を行うことは今後一つのトレンドになっていくのではないかと考えています。
https://note.com/yamakoshi1023/n/n1ae0039aa8a4
NFTについてはまだ不勉強のなので、これから本を読んだり現地に足を運んだりして研究を深めていきます。
以上が、『シルビオ・ゲゼル入門』を読んで感じたお金の話になります。最後までお読みいただきありがとうございました。