今日は探求学習についてです。『「探究」する学びをつくる』という本です。「探求学習」は最近の教育のトレンドになっています。
この本も、『2040年 教育のミライ』という本に載っていたので読んでみました。以前のブログを載せておくのでよろしければお読みください。
この本は、「ハイ・テック・ハイ」というチャータースクールという形式の公立校の実践事例がメインとなっております。
実際に本を読んでみると、非常に魅力的で実際にやってみたいなと思えるような内容です。ただ、日本の公立校でどのくらいできるかというのは、環境が違うなと思ってしまします。
この本にも、そのような叙述があり、日本で実践するならどうするかというところまでちゃんと書いてくれています。今回は、自分の実践にもつなげていくといった視点で、本書から引用しながら書いていきます。みなんさんの参考になれば幸いです。
1エレメント
彼は人生に置いて、自分の「エレメント」を見つけることが何より重要だという。「エレメント」とは、「自分の才能と情熱が出会う場所」を意味し、それは、「自分にとって、それをするのが自然に感じられること」である。しかし、現代社会においては、非常に多くの人が人生の目的をもっておらず、そのことで本人ばかりではなく、何よりも社会がその代償を支払っているという。
『「探究」する学びをつくる』より
「自分の才能と情熱が出会う場所」=エレメント、非常に素敵な表現ですね。まずはこの「エレメント」を見つけていくことが大事なのではないでしょうか。
子どもでも、自分からすすんで「エレメント」見つける子もいれば、そうではない子もいます。
学校教育は、そのような自分から「エレメント」見つけられない子にも一緒に色々な体験をして「エレメント」を見つけていくのが理想であると考えます。
私も、自分の子どもには色々な体験をして、その中から自分のやってみたいことを見つけ、それをサポートしていきたいと思っています。
やはり、根本的には子どものやりたいことがあって、そこから学びがあるのではないかと考えます。
ちなみに私自身のエレメントは、「行動力・出会い力」と「教育・カフェ」が重なるところがエレメントだと最近は思っています。
今後、起業したりするときにはそこから始めていきます。
2個別化された学び
戻ってきた答えは「だからこそ子どもたちに『選択』を与えることがとても重要になってくる。プロジェクトには多岐にわたる役割があり、そのどこかには必ず貢献できる『場』がある。それが教室でできなければ、社会にそういう子どもたちにとっての『場』がないということにはならないだろうか」というものだった。ハイ・テック・ハイの文化を非常によく示している意見ではいかと思われる。
『「探究」する学びをつくる』より
プロジェクト型学習を進めていくと気になるのが、自分のやりたいことが見つからず何もしない子が出てくるのではないかということです。
それに対して、ハイ・テック・ハイでは子どもに選択肢を与えることで、どんな子でも参加できる環境を作っているそうです。これは実は、なかなかできることではありません。
子どもたちだけでできないことは、教師と試行錯誤してチャレンジをしているのだなと本書を読んで感じました。
このハイ・テック・ハイに登場する教師の皆さんは本当に楽しそうに仕事をしているんですよね。それも安い給料で。
プロジェクト型学習・探求学習をやるということは、子どもたちに自由に取り組ませるというイメージがあると思います。
しかし、それに伴走する教員は、教科書の学習以上に研究して取り組む必要があるのではないかと思います。子どもと一緒に学び続けるという覚悟が必要だと考えます。
だからこそ、生きた学びにつながるのではないかと考えます。
3評価について
学習到達度を評価項目とレベルで表形式に表すルーブリックを含め、世の中に評価手法はごまんとあるが、ハイ・テック・ハイはそれらの評価手法に優劣をつけることはなく、その教室の特性、プロジェクトの特性を踏まえて自分で考えてください、という。これは一見厳しいことかもしれないが、上述のように教師一人ひとりが「学ぶ」ということを真剣に考え、その運用を教室で実現したいのであれば、評価手法を工夫するのは当然のことであり、その労力は惜しまないだろう。そうすることによって「教師としての喜び」を、本当の意味で感じ取ることができるのである。
『「探究」する学びをつくる』より
探求学習・プロジェクト型学習で気になるのは、評価ですよね。
ハイ・テック・ハイでは、教師が評価方法を工夫するというスタイルです。今の日本の公教育では、基本的には2・3段階の評価項目になっていると思います。
実際に成績をつけるのは簡単です。しかし、本当にこれで良いのかと悶々しながらつけることも多々あります。自分で判断して成績をつけたいなと思ったこともあります。
でも、そうやって考えると自分で評価方法や評価基準を考えるってめちゃくちゃに難しいなと感じます。だからこそ、ハイ・テック・ハイでは教師同士が切磋琢磨しあって、成績まで自分達で考えているのだなと思います。すごい情熱ですよね。
4日本で探究学習を進める方法
また、こうしてアメリカの事例と日本の事例を並べてみると、お気づきになった方もいるだろうが、日本は学習者の「生活(経験)」を重視した探求に優れた実践が多い。一方で、ハイ・テック・ハイの実践を含め、欧米諸国の実践では「教材(教科)」を重視した探求に優れたものが多い。そのどちらが正しいわけでもない。両方の良い点を見ながら、より多様な探求を実践していくことも可能なのではないかと考える。
『「探究」する学びをつくる』より
やはりこれは、アメリカという教育環境だからできるのではないかという意見が出てくるでしょう。確かに、日本の教育は保守的で、現場にいる私でも色々と遅れているなあと感じることが多いです。
上記の引用の通り、アメリカは教科の中でプロジェクト学習を行なっている傾向があるようです。日本でもやろうと思えばできると思います。
ただ、教科の見方・考え方があり、それに捉われすぎると保守的になりプロジェクト型学習を進めにくいなと考えます。
そんな中で、日本の公教育で探求学習を行うポイントが2つあると考えています。
一つは、カリキュラムマネジメントを工夫するやり方です。例えば、国語・社会・総合的な学習の時間の3の中で単元の重なる部分をやることで、余剰時間を生み出すことができます。
その時間で、プロジェクト型の学習を進めることができるのではないかと考えています。
二つ目は、単元の基礎学習にあたる部分の時間をできるだけ効率よく最低限の時間で終わらせることです。
こちらは、今は現実的ではないですが、A Iによる学習の個別最適化が進めば実践できるのではないかと思います。アタマプラスというスタートアップ企業がありますが、その会社の実践に注目しております。
公教育に実装できないにしても、かなり勢いのある企業だと感じています。
アタマプラス https://www.atama.plus/
ちなみに探求学習を中心におこなっている探求学舎という企業もこれから需要が増えていくなと思います。探求学舎の実践を逆に公教育に取り入れていく時代も来るかもしれません。
以上が、『「探究」する学びをつくる』から学ぶ4つのことになります。最後までお読みいただき、ありがとうございました。