今回紹介する『ディズニーランドの社会学』は、確か電子雑誌の特集の中で紹介されていた本です。ちょうどその1週間後に東京ディズニーランドに行く予定だったので、試しに読んでみました。
実際に読んだら、予想以上によくてこれは色々なケースにも当てはめられるなと感じました。ただ、専門用語が多くてこのブログではその概要は説明しきれません。
このブログを読んで興味をもっていただけたらぜひ本書をお読みください。
さて、今回は東京ディズニーランドの魅力を以下の3点から紐解きつつ、私の実体験も踏まえてお話ができたらと思います。皆さんの参考になれば幸いです。
1東京ディズニーランドのイリンクス
「テーマ性の徹底」という形式は、まさにこのイリンクスをもたらすという点で遊びの要素を満たしている。前述したように、TDLはテーマに基づきアトラクション、レストランなど、あらゆる面で範列=ジャンルを統一し、さらにそれらのなかに統辞=物語を忍ばせる。それは、視覚的かつ非視覚的な情報の膨大な羅列=横溢だ。しかも、これは入れ子構造になっている。人々はTDLにやってくることで、このイリンクス、しかも膨大な情報の爆弾によるめまいによって自らの自我を消失し、そしてディズニーという、ある意味で神話的、宗教的に統一された世界に安心して身を委ねるのだ。
『ディズニーランドの社会学』より
難しい言葉が多くてわかりにくいかもしれません。まずはじめに、「イリンクス」という言葉から説明します。イリンクスは、ロジェ・カイオワという学者の「遊びの4定義」の中ひとつの要素になります。
イリンクスを日本語に訳すと「めまい」です。「めまい」のある遊びには、ジェットコースターなどが挙げられています。
確かに、東京ディズニーランドはスプラッシュマウンテンやビックサンダーマウンテンなど名だたるジェットコースターがあります。そして、イリンクスを感じられるアトラクションはたくさんあります。
ですが、本書が伝えたいことは「情報」のイリンクスだそうです。「情報量のめまい」はじめはあまりピンとこなかったのですが、実際に東京ディズニーランドにいってみたらわかりました。
スプラッシュマウンテンも、近くにあるレストランも名前は忘れたけど車がクルクル回る謎のアトラクションもすごい情報量でしたね。目に見えるところもすごかったし、目に見えないストーリーの情報量もすごく、本当に世界観にどっぷりと惹かれます。
特に謎の車のアトラクションは、乗り物自体は大したことないですが、乗り物に乗る前までの道中がなかなかのカオスなストーリーでおもしろかったです。
他の乗り物も、乗るまでのストーリーや情報量が本当にすごいなと思いました。特に、モンスターズインクと美女と野獣の世界観は本当に良かったですね。
あと、どうでもいいですけど壁とかセットとかの材質がしっかりとしてますよね笑
コンコンと叩いてもびくともしない感じ。あれが個人的にはすごくいいです。
ということで、ディズニーというテーマの中にトゥモローランドのようなエリアがあり、そこにアトラクションがあってキャラクターがいる。それぞれに世界観やストーリーがあり、それが私たちに雪崩のように入り込んでくることによりめまいを起こす。
それが、エンターテインメントとして素晴らしいものになっている。
それが、東京ディズニーランドの魅力のひとつです。
2イリンクスを高めるためのハイパーリアリティー
こうしてみると、TDLのテーマ性は「二重のハイパーリアル」という構造をもっていることがわかる。まずハリウッド映画がエンターテイメントのために現実をコピー、強調して、ある種のステレオタイプ化されたイメージ=ハイパーリアルをオーディエンス(観客)に提供する。そしてTDLは、この構築された未来や過去のイメージをオリジナルとしてコピーし、さらなるステレオタイプ化=ハイパーリアル化を図るのだ。
『ディズニーランドの社会学』より
ちなみに、ハイパーリアリティーとは「本物ではなくても私たちが日常的に慣れ親しんでいるイメージのほうをむしろ本物と感じる感覚」と言い換えてもよいと筆者は述べています。
ハイパーリアル化を私の解釈で一言で言うと、「パクって盛る」、パクモリですね笑
だから、二重のハイパーリアルとは、ハリウッドが現実の世界をパクモリして、そのパクモリしたものをさらにディズニーがパクモリしているという構造です。
これが、イリンクスの効果をさらに高めるいるといいます。確かに、ジャングルクルーズのあたりは、それっぽい感じはしますが、実際にジャングルには行ったことないのでわかりません。
東京ディズニーシーだとよりその傾向がわかりやすいのではないでしょうか。イタリアの街並み、古き良きアメリカなどいかにもそれっぽい感じの建物がたくさんあります。
でも、ハリウッド映画で焼きついている「あの光景」がより再現していることで、ディズニーの世界により入り込めると言うわけです。かく言う私も、やはりディズニーランド内に入るとテンションが上がります。
これが、パクモリとイリンクスの効果なのだと実際に行ってみてよくわかりました。
3脱ディズニー化とアナ雪ヒットの関係性
『アナ雪』のヒットとは、こうしたディズニープリンセスの物語の諸要素に大衆、そしてDヲタが、それぞれの嗜好に応じて微分化した部分に思い入れた、つまり「萌えた」結果といえるのではないだろうか。
これは第7章で論じたTDRの脱ディズニー化状況と相同性をなしている。TDRはミッキーマウスを象徴=印籠とする「ディズニーブランド」という超マクロのメタ・システム=世界を形成し、このシステムの庇護のもとで膨大な情報をばらまいている。
『ディズニーランドの社会学』より
そしてここからが、東京ディズニーランドの脱ディズニー化という一番面白いところです。ですが、本ブログでは、その流れは書ききれないので、私が特に気になった引用文とともにニュアンスだけお届けします。
脱ディズニーとは、ウォルト・ディズニーが当初イメージしていたディズニーランド像から外れてしまっているということです。
ディズニーはもともと、家族のためのテーマパークとして誕生しました。しかし、東京ディズニーランドでは、年々ファミリー層は減って、その代わりにDヲタなるものが増えてきているそうです。Dヲタたちは、制服ディズニーや仮装ディズニーなどをすることで自己の目的を達成する場にしていると。
著者はこの後に、日本自体も脱ディズニーにような傾向が進み、皆何かのオタクになっていくと言う見通しを立てています。
今回はそこまで踏み込まずに、なぜ東京ディズニーランドは脱ディズニー化したのかというところを深入りしてみます。
結論から言うと、日本人が細かい部分に思い入れを持つ人間だからだそうです。上記の引用はアナ雪の日本でのヒットがこの構造に近いのではないかという部分です。
確かに、アナ雪も日本で異常にヒットしましたよね。その原因を考えると、ありのままでの歌や、悪役の存在、オラフの存在感なだが挙げられます。
わたしたち日本人が、細かい部分に自分の思いを馳せた結果のヒットだと著者は考えているようです。
東京ディズニーランドも、もはやミッキーという記号があればなんでも良いような感じになっているそうです。特に、著者が言っているのはパレードの変遷です。はじめのパレードは、かなりストーリーに凝っていたようですが、今はごった煮状態です。
この前、パレードを見てきましたが、確かにいろんなキャラクターが無秩序に出ている感じがしました。それはそれで面白かったので、私はいいかなとも思いました。
そのカオスの中からDヲタは自分の好みを見つけて楽しむのでしょう。
少し話はそれますが、最近大阪のエヴァンゲリオン万博というものに行ってきました。そこで見たのはまさにカオス!笑
エヴァ女子会にエヴァ街コン、エヴァと日本刀など様々なものとコラボしている様子が展示されていました。パチンコとかも有名ですよね。
エヴァ街コンでは、ゲンドウやレイなどが絶対に言わないような名言のパロディーが書いてあって、思わず笑ってしまいました。こそこそ脱エヴァ化しているんじゃあないかと。
色々と考えさせられる内容で、感動しきりの一冊でした!
以上が、『ディズニーランドの社会学』を読んで感動したことになります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。