「自由進度学習のはじめかた」という本を読みました。その中に、「自己調整学習」という言葉があります。まずは、その言葉の本書での定義を以下に引用します。
「自己調整学習」とは、一言でいうと「自立して学ぶ力」を身につける学習のことです。誰かに押しつけられたり、強制されたりしなくても主体的に学び、自らを成長させることのできる力。
「自由進度学習のはじめかた」より
学校教育の現状は、一時間の授業でやることが決まっていて、教師は指導書をもとに一年間進めていくスタイルが今でも主流です。
本書で述べているのは、「自由進度学習」を取り入れることによって「自己調整能力」を身につけていこうということです。
「自由進度学習」とは何か、これも以下に引用します。
自由進度学習とは、その名のとおり、授業の進度を、学習者が自分で自由に決められる自己調整学習の一つの手法です。たとえば、算数を例にとって説明してみます。10時間で計画された単元があったとしましょう。
(中略)
一方の自由進度学習はというと、教科書をベースに自分でどんどん問題を解いていきます。速い子は、1時間目で6時間分くらい進んでしまいます。逆に理解がゆっくりな子は、6時間かけて、3時間分の内容をわかるまで繰り返し学習することができます。
「自由進度学習のはじめかた」より
この方法であれば、子どもが自分で考えて行動できるようになるなと考えます。しかし、子どもも教師もなかなか面食らいますね笑
はじめは、子どもは何をして良いのか戸惑うのではないでしょうか。今までは、教師が支持を出し子どもはそれに従って学習を進める。ほとんどはこういったスタイルではないでしょうか。
非常に魅力的な学習方法ですが、導入するにはなかなか難しいなと感じています。どうすればできるようになるか、私なりに3つのポイントにまとめてみました。
1振り返りの時間を大切にする
著者は、振り返りの時間を重要視しています。なぜなら、自分で振り返ることで自分の得意や苦手を認識することができるからです。
もちろん振り返りをするためには自分でめあてを設定しています。振り返りで注目するべきポイントは、集中力と正確性の2点だそうです。
「友達とおしゃべりに夢中になっていなかったか」「めあては難しかったか、簡単すぎたか」そんな視点で振り返ると次の学習にも活かすことができます。
また、問題が終わったら自分で丸付けすることも大切だそうです。たしかに、問題をやってそのまま終わるということは一番まずいのではないかと考えます。
理由は、自分がどんな問題ができてどんな問題ができなかったがわからないからです。自分でやった問題を教師や親の丸付けるまでの時間が長ければ長いほど、間違えた知識をそのまま身に付けてしまう可能性が高いと考えます。
大人になって独学で勉強する時に、教師や親が丸を付けるわけではないので早いうちから自分でできたほうが良いですよね。
個人的なポイントは、子どもが丸付けした問題に対して必ずフィードバックをしてあげることです。やはり人間、自分が頑張ったことに対して認めてもらいたいと思うことがあると思います。
自分でめあてを選択し、自分で振り返る。そして、教師がそれをフィードバックする。これが大切であると考えます。
2間違いを大切にする
なぜ、間違いを大切にするか。それは、間違えた問題は自分ができなかった問題で、そこができるようになることで成長できるからです。
著者も、間違いについて以下のように述べています。
間違いは宝物。その間違いは、初めて生まれ出てきたものではなくて、元々覚え間違えていたものが表層化されたんですよね。自分の覚え間違いを修正・訂正されることは、学びにとって大きな意義の一つです。「間違いは恥ずかしいものではなく宝物」という雰囲気を、学級全体でつくり上げてきたいですね。
「自由進度学習のはじめかた」より
子ども達だけではなく、大人でも間違いを恐れている人が多いです。確かに間違えるととテンションが下がり、次へ進む元気がなくなってしまうこともあるかもしれません。
私は、間違いをしてしまった時は、素直に認めて次のことを考えるようにしています。間違えたことで新しい気づきを得られたと肯定的に考えるようにしています。
子ども達にも同じように伝えようと思いますが、手を挙げて間違ってしまった時の周りの反応を想像して嫌になる子もいます。
そんな時は教師の出番です。間違えても良い、むしろ間違いを冷やかす子がいたらしっかりと指導する。そうすることで間違えてもいい雰囲気が出来上がり、子ども達も間違いを肯定的に捉えられるのではないかと考えます。
3自分の成長を実感できるようにする
これは、なんのために学ぶのかということにつながると考えます。なぜなら、学習の大きな目的は、「自分の成長を実感すること」だからです。
「昨日よりできるようになった」、「1時間の授業でできるようになった」と子ども自身が実感することが大切なのではないでしょうか。
私は、今でも本を読んで学んだり、新たなアイデアが浮かんだりすると自分の成長につながると実感しています。だから、仕事がある中でも学ぼうとしているのだと思います。
自分の成長を感じている子もいますが、なかなか成長を感じられないで悩んでいる子もいるでしょう。そんな時、教師の出番です。
子ども達が成長していることに気づかせてあげることが教師の大きな役割だと考えます。
以上が、「自由進度学習」を進める3つのポイントになります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。