『デジタル・シティズンシップ』という言葉はご存知でしょうか?
私はこの本を読むまで、言葉自体を知りませんでした。サブタイトルには『コンピュータ1人1台時代の善き使い手をめざす学び』とあります。
学校教育で一人一台のパソコンを活用するにあたり、この「デジタル・シティズンシップ」という言葉が今後とても重要な役割を担ってくるそうです。
まずは、本書の冒頭から「デジタル・シティズンシップ」について引用します。
デジタル・シティズンシップ、聞き慣れない言葉だが、日本では「情報モラル」に近い。しかし、その中身は大きく異なる。「情報モラル」は抑制的だが、デジタル・シティズンシップはポジティブな考え方に基づいている。
『デジタル・シティズンシップ』より
本書によると、デジタル・シティズンシップは自分で考えることが大切だそうですが、情報モラルは大人が決めたルールを守るという点で考え方が異なるそうです。
今の学習指導要領には、「情報モラル」という言葉がよく出てきます。授業でも情報モラルを扱うことがありますが、内容はスマホ依存やSNSのトラブルが中心です。
一人一台のパソコンが学校現場に導入されたことで、受け身の「情報モラル」ではなく、一人ひとりが良い使い手になれるように考えていく「デジタル・シティズンシップ」が重要な考え方になると本書で述べています。
今回は、本書を読んで一人一台のパソコンをうまく活用するためのポイントを2つに絞ってまとめました。参考になれば幸いです。
1教員主導から学習者中心へ
教員主導型の一斉授業にICT活用を持ち込むと教員負担が過剰になり敬遠されやすい。学習者中心の展開に変えることで教員負担は軽くなるが、学習者側の自己調整能力を習慣づけておかないと、学習者に委ねることはできない。
『デジタル・シティズンシップ』より
パソコンの使い方を考える前に、まずは授業のスタイルを変えていく必要があると考えます。
なぜなら、教師主導の一斉授業では児童一人ひとりがパソコンを使う時間がどうしても短くなってしまうからです。シンプルに言うと、教師が話せば話すほど子どものパソコン活用時間が短くなります。
だからこそ、学習の主導権を子どもに移していくことが必要だと考えます。
教師が全体で説明をしたり教えたりする時間を最低限にして、あとは子ども達がパソコンを使って自分で学習を進める。この流れを作ることができれば、一人一台のパソコンを効果的に活用することができるのではないでしょうか。
子ども達に授業の主導権を握らせるのは実際難しいです。やはり、教師が意識をして少しずつ変えていくのが良いと思います。子ども達を信じて任せる部分を増やす一方で、うまく行かなかったらまた教師主導に戻す。
そんな試行錯誤の繰り返しで学習者中心のスタイルが出来上がっていくのではないかと考えます。
最近では、自由進度学習というやり方も注目されるようになってきました。
これからの教師の役割は、コーチングやファシリテーションなどのスキルが重要になるのではないかも思いました。
あせらず、少しずつ取り組んでいきます。
2デジタル・シティズンシップ基準を参考に
国際教育テクノロジー学会では生徒と教師のためのデジタルシティズンシップ基準を定めているそうです。具体的な項目が知りたい方は、本書をぜひ読んだいただけたらと思います。
基準について書いてある部分を以下に引用します。
情報モラル教育と比較し、デジタル・シティズンシップ教育が、「オンラインおよびICTの利活用を前提」とし、その環境で安全かつ責任を持って行動する「心情」ではなく「行動するための理由と方法」を主体的に学び、仕組みを理解するだけではなく「情報技術に関連する人的、文化的、社会的諸問題を理解し、法的・倫理的にふるまう」ための「能力とスキル」を育成する教育であることが理解できる。
『デジタル・シティズンシップ』より
私の解釈でいくと、教師は変化を恐れず子ども達にICT機器を使わせる。そしてその良さを感じさせ、負の側面はどうすべきかを一緒に考える。そうすることで、ICT機器を適切に活用することができる。ですかね。
このデジタルシティズンシップ基準を意識することで、子どもがパソコンをうまく活用できると考えています。
以上が、一人一台のパソコンをうまく活用するためのポイント2点になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。