『ドライブ・マイ・カー』という映画の魅力

先日、いつもお世話になっている方のおすすめで『ドライブ・マイ・カー』という映画を観に行きました。

その方の紹介がなければ、まず観ていない映画だと思います笑

この映画は、村上春樹さんの短編小説の「ドライブ・マイ・カー」を映画化したもので、あえて原作は見ないで映画を観に行きました。

村上春樹さんの小説はいくつか読んだことがありますが、面白い作品がたくさんある一方で世界観に入りきれなかったものもありました。

映画は、『ノルウェイの森』は観たことがありますが、菊地凛子が原作と少し違うなといった印象を受け、原作のほうが面白かった印象があります。おそらく私の鑑賞力不足もあります。

そんな中で、この『ドライブ・マイ・カー』を観て私が素敵だなと思ったシーンを2点お伝えします。以下、ネタバレになってしまいますのでご注意ください。

1ユンスさんの家での食事で家福さんが笑うところ

このシーンが全編の中でも特に印象的でした。このシーンでは、主人公の家福さんが声を出して笑うシーンがあります。私が覚えている限りでは、家福さんが声に出して笑うシーンはここだけだったと思います。家福さんは西島秀俊さんが演じていますが、感情の揺れがあまりなく全編通して台詞回しも淡々とした印象です。

そんな家福さんがなぜそんなにも笑ったのか。私は、この家福さんの笑顔がとても印象に残っていて特に好きなシーンです。

きっかけは、ユンスさんという韓国語の翻訳家の方の家での食事で、奥さんが「この肉団子はユンスに似ている」という表現を手話でしたときのことです。

このシーンを観て、やはりみんなで食べる一時の素晴らしさをしみじみと感じました。最近は、コロナ禍でなかなか友達と会って食事をすることもままならないですよね。

しかし、緊急事態宣言が開け、私も少しずつ友達や同僚と呑んだり食べたりしていますが、やはりいいですね。

普段そこまで話さないような同僚でも、一緒に呑んだりすることでよりその人のことを深く知れるし心の底から笑えることも多いですね。

以前、東浩紀さんの本を読んでオフラインの必要性についてブログに書きましたが、本当にそうだなと思いました。

『ゲンロン戦記』から感じたオフラインの必要性

お時間あれば読んでみてください。

2北海道での家福さんとみさきの語りのシーン

このシーンは映画のラスト30分くらいで、クライマックスのシーンです。みさきは、家福さんの専属のドライバーで家福さんもそうですがつらい過去をもった女の子です。

それぞれの過去を話し、2人が抱き合うシーンで泣いてしまいました。最愛の人の死からみさきに出会い、自分を見つめてまた生まれ変わる。

という言葉にするとありきたりなものですが、自分の家族のことを考えたら感情移入してしまいました。

私も、家福さんくらい普段はあまり感情の起伏のない人間ですが、娘と妻を失ったらどう生きていくかをなんとなく映画を見ながら考えていました。

映画で泣くのは初めてかもしれません。それだけ、家福さんの人生を自分にシンクロさせていました。私は、今までそこまで不幸なことが起こらず生きてきたので、割と楽観的な性格なのです。

少し話題が逸れますが、伊坂幸太郎さんの新作『ペッパーズゴースト』に出てくる楽観的な人と、悲観的な人とも少し関連付けたりもしました。私は完全にアメショータイプです笑

『ペッパーズゴースト』もまた近々ブログに書きたいと思います。

さて、楽観的であることは幸せだと思うのですが、子どもを教育する仕事に就いているのでできるだけ子どもの様々な感情に寄り添っていきたいと思っています。

様々な生い立ちの子どもがいる中で、100%できなくてもなるべくその子の気持ちを考えることのできる想像力を持ちたいなと常に思っています。

今回は、家福さんの気持ちを考えていたら自然と泣いていました。私も妻と娘がいるから特に感情移入しました。

だからこそ最後のシーンがとても幸せだなと感じました。

いやあ、本当にいい映画でした。劇場公開はもう終わってしまいますが、また観たいと思わせる本当に最高の映画です。上記の2シーン意外にも、見どころはたくさんあります。ピアノの音楽も魅力的だし、北海道や広島の風景も素敵でドライブがしたくなります。

車内での会話も楽しいですよね。深夜の高速道路の静寂の中での会話は個人的には最高に好きです。この映画でもそのシーンが印象的です。

と書いていけば無数にこの映画のことが語れます。最高です!

『ドライブ・マイ・カー』という映画の魅力になります。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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